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小規模介護、閉鎖次々

小規模介護、閉鎖次々 4月から「報酬」減額改定、あおり受け [福岡県]
4月から介護保険サービスの対価「介護報酬」が平均2・27%引き下げられる。財源不足の中、超高齢社会に対応するために、通所介護(デイサービス)事業所や特別養護老人ホーム(特養)などほとんどのサービスの基本報酬を減額する。九州には小規模な事業者や施設も多く、資金繰りの悪化を懸念し、撤退を決めるところも出てきた。9年ぶりの減額改定は、九州の介護現場にも混乱を招きそうだ。

 基本報酬の下げ幅が最も大きかったのは、定員10人以下の小規模型デイサービスで、9・3%減(要介護3の場合)だった。

 「これでは、もう要らないと言われているようなもの。頑張る気も起きない」。福岡市で小規模型を運営する男性は3月末での閉鎖を決めた。家庭的なケアをしたいと、特養の職員を辞めて10年前に民家を借りて開設した。畑仕事や刺しゅう、漬物作り…。利用者に応じた活動は好評だ。だが、経営は楽でない。複数の利用者の施設入所が決まったところに、報酬減額が発表され「この先、何年もつか分からない。今が引き際だ」と決心した。

 1月末に閉鎖した同市内の別の小規模型デイサービスも「私たちに厳しい改定になると聞いてやめた」(元施設長の女性)と振り返る。看護師資格を持ち、管による栄養摂取など介護度が重い人も受け入れてきた。介護家族が留守のときに宿泊も引き受けたが、消防法施行令の改正で4月からスプリンクラー設置が義務付けられる。「スプリンクラーの費用と報酬減額の大波は乗り切れない」

 福岡県によると、3月末までに廃止すると届けを提出したデイサービス事業所は、今年に入り21カ所。福岡市も3カ所から廃止届を受けており「報酬改定の影響かは分からないが、他にも相談を受けているため、まだ増えそうだ」とする。

 賃貸で比較的手軽に始められることもあり、フランチャイズ経営や不動産業など異業種からの参入も相次いだデイサービス。同市では2013年度末までの1年間で394カ所から456カ所に急増。全国でも12年度末までの7年間で1・8倍、中でも小規模型は2・5倍に増えた。大幅減額はこれらの整理縮小を狙ったものとの見方がある。

 「良い介護をしたいと個人で立ち上げた小さな所が資金力もなく、結局、割を食うんです」。福岡市東区志賀島でデイサービスなどを運営する竜円洋子さん(69)は分析する。

    ◇   ◇

 基本報酬の大幅減額はデイサービスだけではない。いずれも要介護3の場合、特養(多床室)6・0%減▽グループホーム5・8%減▽小規模多機能型居宅介護5・9%減-と一様に厳しい。増額するのは、病院・診療所による訪問看護(2・3%増、20分未満)と、通所リハビリ(4・3%増)のみだ。

 一方、改定では介護職員の賃上げをした事業者や、要介護度が重い人や認知症の人への支援を充実させた事業者の報酬を上乗せする「加算」を拡充、新設した。塩崎恭久厚生労働相は「加算をフル活用してもらえれば、経営もしっかりやっていけるよう配慮している」と説明する。これに対し、福岡県老人施設協議会の原嘉伸会長は「加算を取るためには職員を増やすなどしなければならない。コストを掛けてまで取った方がいいかは検討が必要だ。経営が厳しくなれば人件費を減らすしかなく、介護の質が低下する恐れがある」と指摘する。

 国は施設から在宅へ政策誘導を進めるが、特養待機者は約52万人に上るなど、国民の施設へのニーズは依然高い。要介護4の妻(76)の特養への入所を待って1年3カ月になる福岡県内の男性(90)は「今でも足りないのに、施設がつぶれるようなことになっては困る」と話している。

=2015/03/16付 西日本新聞朝刊=




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